職場のストレスとの向き合い方

21世紀に入って以来、ストレスは大きな問題となっており、職場におけるウェルビーイングの関心が高まっているのではないでしょうか。イギリスの大学に通う私も、2020年、突如始まった新型コロナウィルスの影響を大きく受けました。ロックダウンの影響で対面の授業やイベントが全て出来なくなり、一時帰国していた日本からイギリスにさえ戻れず、その間は毎日、日本時間の午後6時から午前4時までのオンライン授業、そして課題をこなす日々。楽しみにしていた成人式も中止となり、先行き不透明な日々に対するストレスと不安で、睡眠障害を経験しました。


4月は、米国のNational Institutes of Healthが定める「Stress Awareness Month - ストレス啓発月間」として、現代の職場におけるストレスおよびウェルビーイングを認識する良い機会です。目まぐるしく変化する現代、職場環境におけるストレスは切り離せない存在となり、肉体的・精神的に悪影響を及ぼしています。ストレス啓発月間は、従業員や雇用主がそのストレスの有害な影響に向き合い、対処することを奨励し、ウェルビーイング、つまりより健康的な職場環境とよりバランスのとれた生活を促進することを目的としています。


職場におけるストレスによる主な症状は、パフォーマンスの低下です。ストレスは集中力、問題解決能力、生産性を低下させる大きな要因であり、パフォーマンスの低下は、自信や自尊心の喪失につながり、さらにストレスの負の連鎖を悪化させることになります。

睡眠障害もストレスの代表的な症状のひとつで、個人の生活の質を著しく低下させてしまうことがあります。不眠、浅い眠り、睡眠中の頻繁な目覚めなどは、すべて過度のプレッシャーが原因の可能性があります。睡眠は全身の健康と認知機能に不可欠であるため、ストレスによって睡眠パターンが乱れると疲れやすくなり、職場でのパフォーマンスも低下するという悪循環に陥ります。


このような有害な影響を考慮すると、一人ひとりが自分のストレスと向き合い、コントロールする方法を見つけることは大きな意味を持ちます。そのための第一歩は、ストレスの存在を認めること、そしてそれが自分の求める健全な生活に及ぼす影響を理解することです。ストレスの存在を認識し初めて、ストレスの緩和、解消の方法を見つけることができるのです。


健康増進とストレス解消のために、定期的に体を動かすことは効果的な方法の一つです。早歩きや、ジムでの活発な運動、ヨガなど、運動は脳の「快感」神経伝達物質であるエンドルフィンを放出し、ストレスによる悪影響を打ち消すのに役立ちます。

また、体を動かすだけでなく、マインドフルネスやリラクゼーションのテクニックを実践することも、職場のストレスを和らげるのに有効です。瞑想 (メディテーション)、深呼吸などは、ストレスレベルを下げ、心の平穏を促すのに役立ちます。これらの方法を日常生活に取り入れることで、職場のプレッシャーに対する精神的な緩衝材を作ることができるのです。

さらに、セルフケアを優先し、仕事との境界線を設定することもストレス管理に有効です。十分な休息時間、趣味、社会とのつながりを確保することで、ワークライフバランスをより健全に保ち、燃え尽き症候群やストレスの蓄積から自らを守ることができます。職場では全てを一人でやろうとせず、同僚や他の人にも必要に応じて仕事を任せたり支援を仰ぐことで、過剰な仕事量を軽減し、ストレスを軽減することができます。


最後に、ストレスに関連する問題に対処するためには、友人、家族、またはカウンセラーなどの専門家にサポートを求めることも有効です。自分の経験や感情を他人と共有することで、新たな視点や実用的なアドバイスが得られ、精神的にも楽になることがあります。海外ではよく”It’s okay not to be okay (大丈夫でなくても大丈夫)”と言われることがあります。物事がうまくいっていない時に、他のひとに何もかもうまくいっているように振舞う必要はありません。


ストレス啓発月間は、職場におけるストレスを認識し、対処し、そして管理することの重要性を再認識させる貴重な機会です。ストレスの症状を理解し、その影響を認識し、効果的なストレス管理方法を見つけて実践することで、より健康で充実したウェルビーイング・ワークライフバランスを促進していきましょう。

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