#国際女性デー 五十嵐 ゆり様(レインボーノッツ合同会社代表)インタビュー
Q: キャリアで成功を収めるために、ご自身はどのようなスキルを備えていると思われますか?
五十嵐:私はLGBTQ+やSOGIに関する自治体や企業の施策支援を仕事としていますが、関連の領域に関する最新情報のキャッチアップはもちろん、得ている情報をどのように人々に伝えていくか、そうした編集力も必須です。クライアントの喜びは仕事のやりがいに直結しますが、私自身が「仕事に喜びと楽しみを感じているか?」「安心して仕事に取り組めているか?」という視点も大切にしています。
Q: 課題や障害に直面したときに、どのようにモチベーションやインスピレーションを維持していますか?
五十嵐:課題や障害に直面した時、自分の身体がどう反応しているか、ということに注目します。呼吸が浅くないか、どんな表情をしているか、姿勢はどうなっているか。そして自分の感情にも向き合います。怒りや悲しみ、焦り、どのような感情に包まれているかを確認して味わいます。これら一連の作業をすると、少しずつ気持ちが落ち着いてきます。落ち着いた気持ちになると、どのように課題や障害に取り組めば良いか、今の自分にとって一番良いと思われる方法やイメージが自然と湧いてきます。
Q: ジェンダー平等について将来的な目標やゴールをどのように定義しますか?
五十嵐:これまでも多くの議論や実践が積み重ねられてきたテーマだと思いますが、日本における男女平等についての課題認識や状況の改善がさらに真剣に問われるようになったのは、2021年、五輪組織委員長だった森喜朗氏による性差別発言が大きなきっかけだったと感じています。大会後に気運が落ち着いてしまうのではと危惧していましたが、賃金格差、育休取得、平等な機会など、関連の法改正とも合わせて、様々な改善が進むのではという期待感があります。とはいえ、LGBTQ+の人たちも包摂した、既存のジェンダー規範をより公正なものにしていくための議論や実践はまだまだこれからです。数値などで将来的な目標を示すことは難しいのですが、性的指向や性自認の視点からもジェンダー規範を問い続ける議論と実践の積み重ねと、それを支える法制度が目標と言ってもいいかもしれません。
Q: 仕事をし始めたばかりの次世代の女性たちにアドバイスはありますか?
五十嵐:直感やアイデアはもちろん、違和感や何か気になること、そうしたものをぜひ信じてほしいと思います。「私の勘違いだろう」「思い過ごしだろう」とやり過ごさず、できる時はぜひ言語化して発信していってください。実は誰も気が付かなかったことかもしれません。あるいは、言い出せなかったけど、同じことを考えている人との出会いにつながるかもしれません。コロナ禍を経て私たちは、先が見えない不安感、生き方や働き方の変化など、さまざまなことを経験しました。これからの将来、何が起こるか分からない不安な気持ちに包まれたままでいるのか、むしろ分からないからこそ挑戦してみるのか。皆さんなら、どう考え行動しますか?
Q: ロールモデルはいますか?また、ご自身は他の女性たちにとってどのようなロールモデルになれると思いますか?
五十嵐:私のロールモデルの一人が、ルース・ベイダー・ギンズバーグさんです。米国の連邦最高裁判事として、ジェンダー平等の実現に向けて闘い続けた姿勢や、ユーモアあふれる人柄、保守派の判事との長年の友情などを描いたドキュメンタリー映画がありますが、これを観るたびに元気をもらっています。女性差別と男性の生きづらさは地続きでつながっていることを示し、男性も含めたすべての人権のために闘ってきた姿勢は、私たちに様々なメッセージを届けてくれていると思います。