#国際女性デー 赤川薫様(アーティスト)インタビュー
Q: キャリアで成功を収めるために、ご自身はどのようなスキルを備えていると思われますか?
赤川:物事を人とは違う角度から見ること、些細なことにも疑問を抱くこと、それを放置しないこと。
Q: 課題や障害に直面した時に、どのようにモチベーションやインスピレーションを維持していますか?
赤川:キャリアや自分自身を大切にしたくても、育児に追われてままならず、ジレンマを感じて焦っていた時、友人に「何か新しいことだけれども、そんなにハードルの高くないことを始めてみなさい(Do something new that is not too challenging)」という言葉をプレゼントされました。新しいことに挑戦できているという満足感は得られるけれども、疲れている自分を追い込まないハードルを、という彼女の優しさが詰まった言葉に感動しました。苦しい時には小さな成功体験をあえて積み、自分でモチベーションを保つ大切さを教わりました。
Q: ジェンダー平等について将来的な目標やゴールをどのように定義しますか?
赤川:ジェンダー平等とは、「性別や性認識に関係なく、すべての人に平等なチャンスを」というコンセプトだと理解していますが、ややもすると「同等に扱ってやる」という男性の傲慢がチラつく時があります。旧態依然とした男性優位な社会に「参加させてやる」という意味合いのジェンダー平等ならば、何も変わりません。女性登用率の向上や性的マイノリティの差別撲滅などを目標として掲げ、表面上はジェンダー平等の数値が達成されているように見えても、男性優位な社会に抜本的なメスを入れなければ、男性が密室で物事を決定する文化の根絶にはなりません。男性優位という発想の根本的な間違いに謙虚に気づくこと。それがジェンダー平等の究極のゴールではないでしょうか。
Q: 仕事をし始めたばかりの次世代の女性たちにアドバイスはありますか?
赤川:世界の中で、自分の住む場所を自分自身で自由に決められる人材になる。シンプルなようでいて、自分らしい人生を過ごすためには非常に重要なことです。にもかかわらず、足かせなく自由に住む場所を決められる人は少ないと痛感しています。
Q: ロールモデルはいますか?また、ご自身は他の女性たちにとってどのようなロールモデルになれると思いますか?
赤川:私は日本の伝統美である仮名書道の師範として活動していましたが、39歳の時に日本の伝統や言葉を理解しない方々にも広く見てもらえる作風を手掛けたいと決意し、仮名アーティストとして独自のスタイルの作品制作を始めました。その後、米CNNや英ガーディアンなどのメディアに取り上げられました。また、長いこと取り組んでいた鉄道写真を活かし、49歳の時にプロの鉄道ジャーナリストとしてお仕事も始めました。新しい分野に挑戦するのは何歳からでも遅すぎないと、私のキャリアが誰かのロールモデルになれたら幸いです。どちらの仕事も、私に最初のチャンスをくれたのは女性でした。私も、他の女性に手を差し伸べられる人間になりたいと思っています。
Q: 「さまざまな文化圏で暮らし、お互いを良く知ることこそが人々のいがみ合いや差別・偏見をなくすのに最善だと確信するようになった。芸術活動を通じて国境や言語などの垣根を超えて文化を融合させ、グローバル社会のなかでの相互理解を促すのが究極の目標」という文章を拝見しました。仮名書道師範として、芸術家として、どのように現在のジェンダーについての観点を捉えているか、アートを通じてどのように相互理解を促進できるかについて教えて頂けませんか?
赤川:上記の文章を書いてから、少し心境の変化がありました。(HPをアップデートしていなくて申し訳ないです)
アートには私の人生が自然とにじみ出てしまいます。鑑賞してくれた方の感想があまりに的を射ていて、心を見透かされたように感じて悩んだ時もありました。ですが、アートは元来、国境や言語、文化、ジェンダーなどの全ての垣根を越えて、制作者と鑑賞者の心、鑑賞者と鑑賞者の心、そして、時には鑑賞者とその方の過去をスルリと繋ぐもの。アートはボーダーレスに相互理解を促進できる最強のツールであるため、古今東西のあらゆる独裁者や宗教団体がプロパガンダに利用してきた経緯があります。様々な人の心を繋げられるアートだからこそ、大切なのはそれを悪用しないこと。アートにも鑑賞者にも自分自身にも誠実に、様々な人を幸せへと導ける作品を作る。これが私の最近の作品制作の根底にあります。
赤川様のビデオも是非ご覧ください! https://www.youtube.com/watch?v=-dQ2t-xNBMQ