指数が指す日本の現状

日本では、以前より機会的平等が改善され、男女関係なくキャリアを構築しやすくなりました。しかしながら、指標や順位で見る日本の現状は違う見解を示しています。

世界経済フォーラムのGender Gap Indexによると、日本は146か国中116位であり、国内に大きなジェンダー・ギャップがあることを示しています。同様に、世界銀行が公表したWomen, Business and the Law 2022 Indexでは、日本は190か国中104位と、女性の法的保護や経済的機会の面でのスコアの低さが浮き彫りになっています。これらのランキングは、日本におけるジェンダー平等への動きの停滞を反映しており、今後の改善のための懸念材料となっています。日本は技術的に先進的で、経済的にも豊かであるという評判がありますが、ジェンダー平等に関する実態は満足のいくものではありません。

日本の伝統的な職場文化では、長時間労働が期待され、忠誠心と献身を良しとする傾向がありました。これらが、女性により不利な影響を与えています。その結果、女性は昇進の可能性が低くなり、キャリアアップの「ガラスの天井」に直面することが多いのです。さらに、日本の労働法では「同一労働同一賃金」が義務付けられていないため、男女の賃金格差はさらに悪化しています。

もう一つの重大な問題は、意思決定を担うリーダー的立場にある女性の割合が低いことです。日本の労働人口のほぼ半分を占めているにもかかわらず、官民ともに指導的地位に占める女性の割合はごくわずかです。民間企業では、管理職に占める女性の割合は14%程度であり、国会議員に占める女性の割合に至っては10%程度に過ぎません。このように、指導的地位に女性が就けないことは、日本におけるジェンダー平等の達成にとって大きな障害ともいえます。さらに、安価で利用しやすい保育施設や、働く母親への社会的支援の不足も課題となっています。このような支援の欠如により、女性は仕事と家庭の責任を両立させることが難しく、しばしばどちらかを選択せざるを得なくなります。その結果、多くの女性が離職せざるを得ず、キャリアだけでなく、国の経済にも悪影響を及ぼしているのではないでしょうか。

このような問題に取り組むためには、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを促進する政策や取り組みを実施することが不可欠です。例えば、長時間労働を過度に重視し、柔軟性を制限する日本のこれまでの伝統的な職場文化を変える必要があります。企業は、女性にキャリアアップの機会を平等に提供し、性別や家族構成にかかわらず社員のワークライフバランスを支援する必要があるでしょう。また日本政府は、女性の権利を保護し、男女差別に対処するための法的枠組みを強化する必要があるのではないでしょうか。これには、「同一労働同一賃金」の義務付けや、育児休暇や柔軟な勤務形態など、より社員が働きやすい政策の導入、強化が含まれます。さらに、手頃な料金で利用しやすい保育施設の提供や、働く母親への社会的支援を支援するために、より多くの資金や資源を確保する必要があります。

しかし、ジェンダーの不平等への取り組みは、政府や政策立案者だけの責任ではありません。私たち一人ひとりが、日常生活の中でジェンダー平等の推進に貢献することができます。これには、ジェンダーの固定観念やバイアスの改善に真剣に取り組むこと、指導的立場にある女性を支援・促進すること、ジェンダー平等を促進する政策や取り組みを提唱することなどがあります。また、職場で女性が直面する問題を克服するために、指導やサポートを提供することも不可欠です。

日本におけるジェンダー不平等の問題は多面的であり、それに対処するためには、包括的かつ協力的なアプローチが必要です。政府、企業、市民社会、そして個人など、全てのステークホルダーが協力して、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを推進する必要があります。そうすることで、日本はすべての人にとって、より包括的で平等な社会に近づけるのではないでしょうか。

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